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 レインツリーの国

読書人:mika.K
 

        漆黒の鏡になった窓に向かって、
        ひとみは短くした髪をかき上げた。

映画化にもなった『図書館戦争』シリーズの作中作の小説。
図書館内乱』「二、恋の障害」のストーリーに登場します。

ついに、この作品自体も映画化されるようです。(2015年秋公開)

とにかく、『図書館〜』シリーズ本編は
読むひとをぐいぐい引きずり込む強さがあって、
この作中作のことは知ってはいたものの、
本編の世界観に夢中になっているときは、
正直、「おなかいっぱい」状態で読んでいなかった作品。

ふと、思い出して読んでみたら。
これがまた、ほかの「有川作品」同様、読ませる作品でした。

 

ある小説をきっかけにネット上で「出会った」男女。
そのふたりの恋愛ストーリーなのだけど、
実は「彼女」には障碍があり‥‥。

と、書くと、
どこかで聞いたような、ありふれた恋愛物?
とも思うけど、そこは「有川作品」。
ちょっとした、棘のあるファクターを用意しています。

感情を相手にぶつける側と、その感情を拒否する側。
「わかりあいたい」と、「わかりあうことない」。

この齟齬は、たんに、
なにかしらのハンディのある/なしの特別な関係性だけでなく
あらゆる人間関係でも起こりうること。

「障碍」というファクターを介して
「コミュニケイション」全般について考えさせるストーリー。

メールやチャットのやりとりのような文体がつづくので
ややまどろっこしい、といいますか、
読みづらさを感じる方もおられるかと。

 

ちなみに。

作品の内容とは外れるけど、
これ、いわゆる「スピンアウト」モノとしては異例で、
シリーズ本編の出版社とは別出版社から出ています。
その顛末も、作者によって、巻末におさめられています。

 

 

追加:2015.10/10
「図書館戦争」シリーズ本編で、
この作品を主題にした章を中心としたストーリーが
TBS系のドラマ「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」として、
先般、テレビドラマ化されました。

地上波で放送するには、けっこう踏み込んだ内容だったので、
ちょっと驚きました。
どうやら「障害者」をメインに置くストーリーを
ドラマとして放送にのせるには
ある種のバイアスがかかることが通例なのだそうです。
このあたりの詳細は、『レインツリー〜』文庫版の巻末に
作家の山本弘さんが書かれた解説が参考になると思います。

ちなみに、このストーリーのキーとなる「毬江ちゃん」は
ここで「妄想」した女優さんではなく、
土屋太鳳さんが演じましたが、これがすごくよかった!

なので、
この作品を読んだあと、
こちらのドラマをご覧いただくと(まぁ、逆も可!)
さらに「厚み」を増した読書体験となるのでは、と!

ぜひに!!

ただし、一点、気になったことが。

本作品『レインツリー〜』の映画化について前述しましたが、
今回のドラマとは別系列の局(関テレ系)が製作したため?か、
今回、TBS系が製作したドラマ「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」では、
この本のタイトルを『ネムノキに降る雨』と変更しています。
作家名も「広川ゆう」(有川浩、の逆読み?ですかね)にしてました。

なんだかなぁ。

ここは、なんとか整合性が欲しかったよね。

 

「わかってもらいたい」ひと、
「わかるはずない」と思ってるひと、
「わかってるはず」と思いたいひと、
‥‥などなど。

に、おすすめします。

 

 

レインツリーの国
有川 浩(著) /新潮文庫
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