tenonaca.com のこと  + おしらせ  + おたより  
                       
HOME てのなかの「本棚」 てのなかの「映画館」 てのなかの「音楽」 てのなかの「お台所」 あの雲の味?            
 
「本棚」top*
これまでの
本たち。
 
 
 
 
 
 
 

 あの金で何が買えたか―バブル・ファンタジー

読書人:mika.K
 

         究極の愛人 10億円

1999年夏に発刊された本なので、若干、内容に関してはタイムラグ、あり。とくに冒頭の対談相手、に「諸行無常」の感あり!

ただ、「数千億円規模の」「2兆円超の追加予算」なんていう、「ニュースのなかの数字」が、すこし「リアルな数字」としてアタマに入るようになった、きっかけとなった一冊です。

 

たとえば、この本が発刊された当時、破綻銀行の処理に多額の、いや巨額の「公的資金」が使われました。「公的資金」という名称でごまかされそうになりますが、これらのお金には、われわれから徴収した「税金」も含まれます。(※もちろん、政府の政策金融機関からの資金もあるので、すべてが「税金」というわけではないようですが)

税金、っていうと、払い込んでしまうと(お給料から自動的に天引きされてる場合は、なおさら!)、なぜか、自分とは「ぷつっ」と関係が切れてしまったような「遠いお金」になってしまうように感じるんですよね。

もちろん、これらの「税収」という名目で集められたお金は、
ぶわっ、と、どこから沸いて来た「お金」ではなく、身近なところでいうと、日々のお買い物で支払う消費税や、年間の所得に対する税金(ま、わたしの場合は微々たるもんですが)等を寄せ集めて、それらが「億」とか「兆」とかいう単位の「大きなお金」となる。

にもかかわらず、
「他人事」の如く、その使われかたに頓着しないのは、マズイ。
ましてや、
使い方を決めるひとびとが、その使い方に頓着しない、のは
もっとマズイ!!

 

ありそうでなかった本です。
リアリティの感じない巨額の「お金」をつかって、リアルになにかを買ってみたら、どうなるか、をシュミレートしています。

その視点を“物差し”として使って「大きなお金」の実存を「知る」ことができるのでは、と問いかけています。実際、村上さんは「もし巨悪が存在するとして、彼らがもっとも困ることは何だろうか?<中略>大衆が真実を「知ること」のほうが彼らにとってはやっかいだと思う。」と書いています。

たとえば、富士銀行への公的資金投入額。1兆円。
当時のレートですが、このお金を使ってなにができるかというと「究極の愛人」を手に入れ、「CNN」を買収し、「自然共生研究施設10カ所建設」して、まだ250億円のおつりがくる、など。

新聞の経済記事や、ビジネス書などでは「文字」として提示されているような視点ではあるのかもしれないけど、村上さん独自の切り口で、わかりやすいイラストとともにまとめられているので、ふだん、このあたりのことに「疎い」「興味ない」と思ってるようなひとにも、ぜひおすすめしたい一冊。

著者の村上さん自身が「絵本」と定義している、この本。
とはいえ、おとぎばなしや冒険物語ではありません。現実の世界で展開した「お金」について、はまのゆかさんという、当時学生だったイラストレイターが描いた「絵」で解説した「絵本」です。

小学校高学年くらいだったら、「理解/興味」への入り口くらいにはなるんじゃないかな。

 

「税金」。

たまには「自分目線」であらためて考え直してみるのもいいかもしれない。

だって、それは、ちょっと前までは「わたしたちのお金」だったのだから。

 

税金を払っているひと、みんな
なにか「どでかい買い物」を予定してるひと

に、おすすめします。

 

 

あの金で何が買えたか
―バブル・ファンタジー
村上 龍 (著), はまの ゆか (著)/小学館
amazon.co.jp で購入
 
 
 
s