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 ホノカアボーイ

観た人:mika.K
 
ひとは誰かと出会うために生きてる。らしい。

あぁ、どうしやう。「いぢわるゴコロ」を封じ込めきれずに、ちょいとだけ。制作は「THE “トレンディドラマ”黄金時代」のフジテレビのドラマスタッフ&大手ダイリテン電通&TVCMなど話題の映像を世に送り出している製作プロダクションROBOT。

コマーシャリズムの「かほり」が、ふわっと漂いますね。

先行している某ヒット映画をふまえた、「これと、これと、これ。このファクターで“イケル”ね、」的なバックグラウンド、はあるのかもしれません。いや、「ある」。

ただ。それはそれ。

あえて、そのあたりの「オトナの事情」は「わかった」うえで、「いぢわるゴコロ」は封印します。

あとは、褒めます。

わたし自身が「ハワイ島」に愛着がある、ゆえに、見てみた映画です。ホノカア(Honokaa)という街は、1度か、2度、通りすぎたことがある街です。old hawaiianの聖地といわれる「ワイピオ渓谷」に向かう途中に通過する街。車だと、ほんと数分で、この街のメインストリートを通り抜けてしまいます。そんな「街」です。そこには、ひとびとのたんたんとした日常があるのでしょう。それをそのまま切り取って映画にしてみました。という作品。

ただ、ね。
「ふつうに生活してる日常」って、どれだけのドラマが隠れていると思いますか?感情の起伏のアップダウン、おもいもよらぬアクシデント、だけが「ドラマ」ではないわけです。

とくに、この「ホノカア」というのは、日系ハワイアンの歴史をたっぷりとふくんだ街。そこには、どれだけの血と汗と涙と笑顔の、過ぎ去りし日々が積み重なっているのでしょう。

ハワイ島に行くたびに思うのは、その地が日系ハワイアンが紡いできた歴史だ、ということです。わたしなんかが、ふわ〜っとしたキモチで赴く、その土地には、古くからたくさんの、日本をルーツにもつハワイアンたちが生活してきました。どこか「なつかしさ」や「安心感」があるのは、そのせいだと思うのです。
なんにもない溶岩だらけの土壌を切り開いて、いろんなところからその島にやってきたひとたちと、ともに力を合わせて、必死に「生活の場」にしてきた歴史があります。しかも、「祖先が日本からやってきた」という理由で理不尽な扱いを受けてきた過去さえあるのです。

長い年月のなかで、さまざまなルーツをもつひとたちが巡りあって、そういう「家族の歴史」があって、いまの生活を送っているひとたちには、どこか「諦念」のような、どっしりとしたおおらかさ、を感じるのです。そして、他人に対して、も。

この映画で主人公が出会う、日系人のおじいさんコイチ、映画館のポップコーンマシンの前でいつもうたたねするジェームス、映画館の女主人エデリ、そして、主人公のだいじなひとである、ビーさん。

「諦念」とは、「あきらめ」ではなく、「悟り」に近い。
「ここで こうして 生きていく」といった、現実に正面から向き合う、いさぎよさ、なのかもしれない。

主人公のレオとロコのマライアとの恋のエピソードは‥‥うーん、スパイス程度かなぁ。マライヤ役の長谷川潤ちゃん、映画のなかでも、ほんとうにキュート。あーゆーコ、見かけます。彼女自身がハワイ島の出身だし。しっくりくるはず。彼女のホームタウンは「ヒロ Hilo」という街で、ここもまた、多くの日系人が暮らしてきた生活の場。すごく、居心地のいいところです。現地でも「いいコだよ!」という評判だそう。わたしも、そう思う!

もうひとつ、この映画のサイドストーリーとして、主人公は、ムーンボウを追いかけてるんですね。ただ、わりと「しゃりっ」と見ちゃってる在住者を知ってるだけに「一生に一度、見られればラッキーな奇跡」ってことでもないかもしれません。気象条件とか、場所とか、「お?来るな、」というのが経験値でわかるみたい。まぁ、限られた滞在時間しかない旅行者は、そういうひとに頼るのが近道かも。とはいえ、確約はしてくれないでしょうけどね。わたしも一度は見てみたいな。

それにしても、出演している俳優さん、みな、それぞれが「このフィクションを生きる」リアルな存在感があります。
さらに、製作にかかわるクリエーターも「揃えて」るんです、実は。原作者の吉田玲雄さんもふくめ、撮影は、ふんわりした空気感が印象的なCMフォトで一躍脚光を浴びた市橋織江さんが担当。音楽はプロデュースを桑原茂一さん(スネークマンショー!)、青柳拓次さん、阿部海太郎さんが映画の世界に丁寧な「色」をつけています。主題歌は小泉今日子さんが。映画の雰囲気そのまま。斉藤“せっちゃん”和義さんが作曲。

とくに、ストーリーらしいストーリーは期待せずに、
あの街の、あの「におい」「空気」「風」を感じる映像として、おたのしみください。

 

「ありのままの、毎日」は、こんなにも、あたたかい、のです。

 

休みの日に、ともだちのだらだらとしたおしゃべりに
つきあえるような、度量のあるひと
ハワイ島に「帰りたく」なったひと
ひとの「やさしさ」に触れたいひと

に、おすすめします。

 

ホノカアボーイ
主演:岡田将生/ 倍賞千恵子/長谷川潤
/ 2009
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